「明日はどこから」
どうして明日はくるのかしら?
明日って、いつくるの?
お月さまは
「寝たらわかるかもね」
と言いました
次の日起きると
今日でした
明日はどこに?
光の先へ回れたら
見つかるかしら
そうして太陽を追いかけていくと
今日の終わりに海に潜っていくようです
明日は海にあるのかしら
海に浸かった太陽は
じゅ、じゅん、じゅうわああ
と ものすごい音を立てながら潜っていくのに、海はへっちゃら。
太陽は小さな小さな泡を出しながら、深くふかく潜るごと、ついには溶けてしまいました。
残った泡が上へ上へと登っていきます。
海面から顔を出すころ、また今日が生まれるのでしょう。
それでは明日は、いつどこで生まれるの?
太陽について回っても今しか分かりません。
月は昨日を連れて夜をいくだけです。
海にも明日はありませんでした。
それではどこに?
宙を見上げると満天の星が燦然と輝いています。
すると、ひときわ大きな星が、高く伸び出たモミの木の上を流れていきました。
明日は森にあるかしら
森の中は、とても賑やかでした。
大きな木から落ちた葉が積み重なり、ふかふかの土になります。その土から、次々に生命が吹き出して、森はどこまでも広がっていくようでした。
森の端には、確かに明日があるようでした。
嬉しくなって、早く確かめたくて、
走って走って、走って、はしって、
森は、突然 終わっていました
道路が現れ、車が走り、その先にはあの大きなモミの木より高いビルがニョキニョキ生えていました。夜になると自ら光るので、星も見えなくなりました。自分たちだけの生命で巨大化していく街が森の代わりに広がっています。
そうして騒々しい音と煙を立てながら、まだまだ足りないと、森をどんどん削っていくのです。
森の果てにあるはずの明日を盗んでいく、明日ドロボーたちでした。
明日ってなんでしょう?
もう誰かに尋ねることはしません。
なぜなら、明日は生命の中にあるからです。
たくさんの生命が紡がれて広がっていく先にあるのです。
明日はわたしの中にあったんだわ
それなのに
私たちは
誰かの明日を盗むため
今を削って
昨日を見ようともしない
でも、私は昨日が好きだ
今も大事
きっときっと
盗まなくてもいい明日を見つけてみるわ
そうして、
わたしにできること
一つづつ
一歩づつ
今日の生命を紡いでいきます