2018-01-01から1年間の記事一覧

「空に帰ったお月さまのおはなし」

空を眺めていたら、お月さまがチカチカして、ストンと落ちてきた。 そのまんまの大きさで。 お母さんに言ったら、 「月って、とーっても遠いところにあるから、そのくらいの大きさに見えるけど、ほんとはとっても大きいのよ」 と、信じてくれなかった。 目の前…

寄り添うって簡単に言うけどさ

寄り添うと聞くと、どんな事を具体的に思い浮かべるだろう? 昔の私は、「気持ちを分かること」や「同じ気持ちになること」だと思ってた。 けど今は、「共に過ごせる場を創る」の方がしっくりくる。 あの誰かに分かって欲しくて堪らなかった時の寂しさは、結局、気…

「高い壁を積み上げ続けたぼくの話」

無駄に高いプライドの壁が、空をあんなに高くさせて……すっかりぼくをひとりぼっちにしてしまった。 見上げる空は四角く小さい。 なんであんなに高くしてしまったのかって? 涙が溢れないようにだよ。 溢れようとするたびに、積み上げていったんだ。 あんなに…

「明日はきっと」

「もう!嫌になるよ。どうして自分の体なのに言うこと聞いてくれないんだろう……!」 「……ごめんね、ケビン」 「ああ、ママ、そうじゃないんだよ!」 「わかってる。でも、こういうとき、やっぱりどうしても思ってしまうの。神さまのこと」 「神さま?」 「……うん。ケビ…

永瀬清子「流れるように書けよ」を読んで

詩をかく日本の女の人は皆よい。 報われること少なくて で書き出されるこの詩の一遍は はげしすぎる野心ももたず 先生もなく弟子もなく 殆ど世に読んでくれる人さへなくて満足し しかし全く竹林にゐるやうなものだ とくる。 呼びかけられて、心が洗われるよ…

父と、「星の王子さま」

「星の王子さま」サン・テグジュペリ 作内藤濯 訳岩波書店 を無性に読みたくなって、この度、読み返してみた。 想い出が、ページを捲るごとに蘇ってきた。 ぞうを飲みこんだうわばみの絵を帽子だと思うくらいには大人で、何が書いてあるのかはさっぱりわからな…

「おはなし ききます」

やぎ先生は、ずっと、大きな森の大きな病院でとても立派な先生として暮らしてきました。 けれど、年をとっても立派でい続けるのは骨が折れるのです。それに、若者達にも立派に成ってもらいたかったので、思いきって、立派なことは全部ゆずることにしました。…

「突然、始まる物語」

突然、始まった物語は突然、終わりを告げ 遺されたもの達がまた新たな旅を始める ひとつづきの命の旅を 第一章 【創世記第三章】 ( なんでも入る空っぽに穴が開いてるのかな? それって、ワクワクする! ) そう思ったらいても立ってもいられなくなって、 「穴…

‪「IT」を観てきた

恐かったー。 何が恐かったって、子供の頃の危うさを思い出したからだ。 好奇心旺盛で、不思議なものにすぐに惹かれてしまう自分を思い出した。 いつも通る道が、ふいに、いつもと違う世界と繋がったかのような瞬間に踏み出してしまうあの危うさ。‬‪路地に潜…

わたしが私という存在に気がつくまでの話

‪わたしが私だと気がついたのっていつだったんだろう。‬いや、気がつく前のわたしも私ではあったんだけど。わたしと名のつく私は、分断してたくさんいる。総称して私だと気がついたのは、みたいな意味で。 先に存在しているものがあって、その目を通して世界…